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『茄子
アンダルシアの夏』の舞台となっているのは、世界最大規模で行なわれるレースのひとつ、ブエルタ・ア・エスパーニャ。通称ブエルタと呼ばれるこのレースは、世界3大ツールのひとつに数えられるステージレースで、3週間かけてスペインを一周する。3大ツールとはこのスペイン一周と、イタリアを一周するジロ・デ・イタリア(通称ジロ)、世界最大のレースと称されるフランス一周のツール・ド・フランス(通称ツール)がある。この3つのレースは期間、参加選手のレベル、コースの難しさなど、全てが他のレースを上回り、比類なきレースとしてその地位を保っている。
ロードレースには大きく分けると数日間に渡って走るステージレースと、1日だけで終わる1デイレースがある。世界選手権やワールドカップはその日1日だけで勝者が決定し、1番でゴールに飛び込んだ選手がそのレースの勝者となる。
ところがステージレースの場合は数日間に及ぶレースの、日々のゴールタイムを換算し、もっとも合計タイムの少ない選手が最終的に勝つことになる。そのためにある日のレースに1位となっても、別の日のレースで遅れてしまえば最終的な勝者にはなれないのだ。
ライバルの得意な走りと自分の得意な部分を比較し、タイム差を常に考えながら走るところにステージレースの難しさと面白さが混在する。
ロードレースは一見個人と個人の戦いのようにも見えるが、実際には各チーム同士の戦いになる。通常レースには1チーム9人までの18から20チームが参加し、チーム内の1人のエースを勝たせるために、アシストと呼ばれる他の選手が献身的に働くことになる。
たとえばエースがパンクして遅れれば、アシストは全員がエースを待って集団に連れ戻す。ライバルが逃げようとすれば、エースに代わって逃げを吸収する。5時間から6時間に及ぶレース中の食べ物や飲み物、雨が降れば雨具をチームカーに取りに戻るのもアシスト達の仕事だ。そしてエースが勝負する場面まで、できる限り力を温存させるのだ。
ゴールスプリントに強いエースならば、集団を崩さないようにゴールに向かいたいとアシスト達は考え、山岳に強いエースならば上りに入ったところでレースのスピードを上げてライバルを振り落としていく。ロードレースの魅力のひとつは、各チームがエースの得意な走りができる部分までを、いかにしてアシスト達がレースをコントロールし、エースに有利な戦いを展開しようとするかにある。
通常エースは何があっても代わることはない。エースは常にエースであり、アシストは常にアシストだ。ところがエースに不得意な区間やアクシデントなどの要因があると、その状況に応じて監督がエース以外の選手を使って勝ちを狙うチームがでてくる。
こうした不確定な要素を全て見越して走るのがロードレースの難しさでもある。今年で58回目のブエルタは、9月6日から28日までの23日間の全21区間(ステージ)、総距離2,925kmで行われる。今年のスタート地点はスペイン北部のアストゥリアス地方の主要港町ヒホン。そして3週間の後、ブエルタのゴールはマドリッドが通例になっている。
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各ステージの構成は平坦8ステージ、山岳9ステージ、チームタイムトライアル1ステージ。個人タイムトライアル3ステージの計21ステージ。レースはこの変化溢れるコースで、1日平均160kmあまりをバイク並の平均時速40km前後で走り抜ける。山岳で活躍する選手に特別な思い入れのあるブエルタらしく山頂ゴールは6回用意され、第7ステージからはピレネーで3日連続の山頂ゴールが待っている。
もちろんこの中には2,000m以上の峠を複数越えるコースもあるが、標高差が1日で3,000mに迫り足をつきそうなコースでもアベレージは32kmを維持し、下りでは時速110kmを超えるスピードでガードレールもない峠道を駆け下りる。平坦ではときに時速50km以上で走り続け、ゴールスプリントでは時速70kmでの駆け引きが生まれる。 |
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